今日、我々はカロリー、脂質の取りすぎによる肥満、生活習慣病の心配が大きな問題です。しかし日本人の食生活で脂質の取りすぎが言われだしたのはここ2、30年のことです。第二次大戦後アメリカの占領軍兵士がバターを食べていましたが、この美味しい食べ物も日本人にとっては高嶺の花でした。当時国内でバターを沢山作るほどの牛乳は、ありませんでした。そこで鯨油、植物油などを原料にしてマーガリンというバターもどきを考え出しました。
ところがカロリー摂取量も十分な食生活が出来るようになると、動物性脂肪を多く摂取すると心臓に悪い、バターを植物性のマーガリンに代えることで健康になれるということになりマーガリンは食品の確固たる地位を築きました。朝食のパンにはバターに変わってマーガリンが主流になりました。またリノール酸リッチな食材がもてはやされるように成りました。
次に植物性油脂では不十分ですよ、さらにさばやいわしなど背の青い魚に含まれる油を食べることが必要ですといわれています。
食べ物はどれがよい食べ物で、どれが悪いというものでなく成分のバランスの問題です。現在植物性油脂5、動物性油脂4、さばなどの高度不飽和脂肪酸含有油脂1とした摂取をバランスが良いと言われています。脂肪についても時代と共に評価は変わってきました。
徳島県消費生活有識者会議会長
医学博士 松原 博
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