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Tのためいき
 生活者の視点で、わかりやすい情報を基本とし、法律や経済、くらしの様々な有益な情報をコラムとして、学識経験者や専門的な分野で活躍する方々に寄稿していただいたものを掲載しています。

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アジサイの花                 2016/ 6 Vol.65  
    〜見る人によって花の見え方は同じではない〜

 近年は、梅雨と言っても昔のように、昭和20年代のことだが、しとしとと降るわけではなく、子どもころの梅雨と変わったと思っている。今年は4月頃から夏日になり、梅雨と言いつつ、すぐ真夏に入りそうである。

 梅雨の思い出と言えば昭和40年代、私の20代の半ばのことである。その年はしとしとと長雨が続いたような記憶である。新米の教員であり、学級担任は初めてだった。今なら支援学校と言うのだが、小児麻痺の後遺症で障害児学校から高校に進学してきた生徒さんを担任した。歩くにも会話にも少し障害があった。

 支援学校側から先生が来校して話し合いがあり、校長からも特別に生徒さんの状況説明があった。そのため仲間づくりを見ていたし、気配りもしていたつもりだった。その日は雨がしとしと降り、中庭にアジサイが咲き乱れていた。雨に濡れているアジサイの花は、葉の新緑が冴えて生き生きしている。

 放課後、一息ついて職員室の椅子に腰を下ろした。何時ものように机上には学級日誌が置かれていた。決められた記録の他に、自由の記録欄がある。そこには「人間になんか生まれてこなければよかった。アジサイの花に生まれてきたかった」との短い記載があった。教員として何かの返事を書かねばならない。

 教師のコメント欄にいっぱい書いたが、何を書いたか記憶はない。何を書いても私の語彙力で彼女に届く言葉はなかった。でも、一生懸命に教師に与えられた小さい所見欄をはみ出して、書いて、書いて、書いた。ふっと顔をあげると窓からアジサイの花が見えた。雨にアジサイの花は泣いていた。

 アジサイの花の季節には、必ず彼女のことを思い出す。援助できなかった辛い思い出である。ベテラン教師ならもっとましな援助が出来たかもしれないが、非力な教師であった私には何もできなかった。万一機会があるなら、60歳の彼女に会いたい。
(写真は佐那河内村 大川原高原)
                         徳島広域消費者協会顧問  三原茂雄

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