昨年の五月、高齢者施設に就職が決まり、三ヶ月が過ぎる頃には職場の仲間にも恵まれ、利用者さんにもやっと顔と名前を覚えて頂きました。自分も仕事に意欲が出てきて、さあ、これから頑張って人のお世話が出来ると思っていた矢先に、突然の出来事です!
通勤時間10分位の距離をバイクで通勤していました。仕事を終え、職場を出て5分位ほど走り、赤信号で止っていたら助手席に子どもを乗せた若い母親が運転する大きな四輪駆動車が、猛スピードで私のバイクに激突し、私とバイクは10m先の歩道段差まで飛ばされてしまいました。事故の時は、全然意識がなく、気がついて目を開けると、7・8人の顔が見えて、「どうして道路で?」と寝ている自分に驚きました。救急車が到着して、病院へ搬送され、職場の上司、同僚も急いでかけつけて励ましてくれました。私の姉妹達も知らせを受けて、夜中に遠く大阪から車を運転して病院まで駆けつけてくれました。お医者さんの説明を受けているのを見て、やっぱり「実の姉妹」、「家族だから」と思うと涙が止りませんでした。
わき見運転していた加害者は、ただただ謝るだけでした。事故当時助手席に乗っていた子どもは、バイクが飛んでいく様子を全部見ていて大変驚いていると、加害者から聞かされました。「私は意識も戻り、死ぬことはないから早く子どもさんの所へ帰ってあげてください。」と言うと涙を流して、私に謝っておりました。
事故の時、意識がなくなっている私に、中年の女の人が一生懸命に大きな声で、私を励ましてくれたことをあとから知りました。退院後もその人を探し出させず、その人のお陰で現在こうして生きて、また社会に戻ってこられたことに感謝しております。お顔もお名前もわからない方ですが、一生忘れることは出来ません。ありがとうございました(合掌)。
現在も、むち打ちの後遺症と毎日戦っております。これだけは、経験した者だけしか分かってもらえないでしょうが、辛いです。
一時は、加害者を随分恨んだりもしました。うつ状態になり、知り合いには夜中の2時3時に電話をかけてしまい、次の日、深夜に迷惑な電話があったと言われ、時間帯も気にせずに無意識のうちに電話をしてしまった自分の行動が、分からなくなることもありました。
事故は、被害者の生活のリズムを壊すだけでなく、被害者のまわりにいる人達にも何らかの迷惑をかけてしまうことがあります。
多くの人達を傷つけてしまう交通事故は、ニュースや新聞で毎日あちらこちらで報道されています。自分が被害者になるまでは、他人事のように見聞きしていました。事故は不注意から起こるものが殆どです。
運転される皆さん、ハンドルを握る時は、気をひきしめて、マナーを守り、一件でも事故を無くしてほしいと願っています。また、車や二輪車だけではなく、歩行者も自転車に乗られる方にも交通ルールはあります。ルールを守ってこそ小さなお子さんからお年寄りの方まで「安全で安心」な環境の中で暮らしていけるのではないでしょうか。
介護福祉士 大久保 美和子
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