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 生活者の視点で、わかりやすい情報を基本とし、法律や経済、くらしの様々な有益な情報をコラムとして、学識経験者や専門的な分野で活躍する方々に寄稿していただいたものを掲載しています。

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木頭杉一本乗り                2016/ 8 Vol.67  
    〜林業の村〜

 那賀町へ行くことは多いわけではないが、行ったときにほぼ顔を出すのはもみじ川温泉の前にある産直市である。人それぞれの好みがあるが、私はここで売っている「はんごろし」と言われるだんご、おはぎ、かな、が噛み応えや味が何とも言えなく口に合い、買わずにいられない。少なくともここで買うと特別にうまく感じるのは、はるばると車を飛ばしてやってきたとの実感を味わえるからかもしれない。

 一息ついて木頭へ向かった。高の瀬狭へ紅葉狩りに二度ほど行ったことがあり、おおむね場所は分かっていたつもりだが、上那賀の診療所を通過した後、道を間違ったのかと自信をなくした。とは言っても、道を尋ねる人には会えない。行くしかないと腹をくくって、更に車を走らせると木頭に着いた。川沿いの河原にテントが張られ人々の声が国道まで伝わってきた。「木頭杉一本乗り」の練習中であった。

 林業が盛んであった頃は、木材を川に流して、下流で集めるのであるが、途中で淀みにとどまっているもの、浮草や障害物に掛かり流れずにいるものを見つけて流すことも一本乗りの仕事であったらしい。一本乗りは、林業の盛んな、それでいて道路が発達・整備されていない時代の花形職業・技術者であった。時代はこれらのことを大きく変えた。

 安い輸入木材であり、その結果の木材価格の下落である。道路の整備が進むにつれてトラック輸送がメインなることも必然である。後に、川口、長安口、小見野ダムなどのダムは、木材を流し運ぶ手法を文化としてさえも残すことをできなくした。とにもかくにも木材価格の下落が、他の山村と同じく、木頭を過疎への道を辿らせたのである。

 川沿いのテントや桜の木陰でのんびりと一本乗りを見に来ている人、地元の人も一時の賑わいを川面に見ている。若いお巡りさんが、「振り込め詐欺に注意」の幟を背中に背負い一本杉に乗って、流れ始めるとたちまちドボンと落ち込み拍手喝采である。過疎の村と言われるが、今日一日は人々の声が絶えることがない。

 小さな流れをいくつも集めて、渓や谷になり、川となり、更に大河となるのである。小さな流れが干上がれば、川としての水量を失い、大河にはなれない。過疎というのは、小さな流れであり、より過疎が進めば集めても村や町、まして都市にはなれないのだ。水の源流をなくしては、言い換えれば水のない都市はあり得ないのである。小さな村がなくなり、わずかでもなされている林業や農業が失われようとしている。大都市の未来の予兆を過疎地に見るのである。
(写真は、那賀町木頭杉の一本乗り)
                           徳島広域消費者協会 顧問 三原茂雄

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