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Tのためいき
 生活者の視点で、わかりやすい情報を基本とし、法律や経済、くらしの様々な有益な情報をコラムとして、学識経験者や専門的な分野で活躍する方々に寄稿していただいたものを掲載しています。

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エコに踊る社会が道徳を退廃させる       2011/12 Vol.45 
 何時だったか確かな日にちは思い出せないが、ちょっと風の強い雨の日だった。雨上がりに運動不足を補うために少し足を延ばして歩いた。道傍には2本の壊れた傘が放置されていた。おそらくは百円程度の傘ではあろうが、傘の命の終わりは無残なものである。
 私の子どもの頃は、昭和20年から40年ころまであるが、のんびりしていた。月に1回程度は「コウモリ傘修繕・・・」と傘の修理屋さんの声が聞こえたものである。和傘と言うか油っこい匂いのある番傘からコウモリ傘へゆったりと変わっていく頃だ。傘は貴重品であるから修理や修繕して使うのが当たり前であった。
 気が付いた頃には傘は貴重品から消耗品になり、百円傘の時代になれば、盗難にあっても警察に届ける人は稀、ひょっとするとないかもしれないのだ。私も数度傘を取られた。新しく購入して初めて使ったもので役場の傘立てに2時間ほど置いた間のことである。後日2〜3回見に行ったが、返されてはいなかった。
 また、別のときの傘は後日返されていた。こういうのを「使用窃盗」と言うらしく「盗った」のではないらしいが、雨が降っていたので差していった傘を無断で「借りた」など言われても納得できるものではない。私から見れば「盗んだ」と思えるのだから、ただ「借りた」と開き直られても納得はできない。
 狭い居間ではあるが、その真ん中でずっと座っていたものが、ある日のことただの邪魔な大きな箱になった。映りが少し悪くなったと言うことはあるにしても、老眼鏡を掛けねばものが見えぬ、あるいは乱視でしっかりとはものが見えぬ老人には過ぎたるテレビであり、我が家に溶け込んだ仲間でもあった。
 ひどいものでお国から「このテレビは映りません」と言われたのだ。更に「廃棄するときはカネを払ってもらいます」と宣言された。機嫌よく使えるもの、使っていたものを使えなくしておいて、廃棄処分のカネまで強制的に巻き上げる。テレビもちゃんと埋葬するのは所有者の義務ではあるが、無駄なものにさせた人も責任を負えと叫んだものだ。
 「物を大切に」と口では言っても、社会全体で逆な教育をしている。道徳の乱れを嘆くが、「エコだ」とばかりに「新しいもの」に買い替えを迫る政治的な施策が目立つ昨今である。エコの名前のもとに「修理や修繕」の文化を否定する。物が売れないと経済が冷え込むからと、買い替えを政治的な政策として打ち出す。
 使えるものまで捨てさせる経済最優先の社会は、早晩、道徳の退廃社会を産むと思える。例えエコだと言われても人に命があるように、物にも命があるのである。人の命と同じように物の命を大事にしなければ、厳しいしっぺ返しがあるだろう。
 雨上がりの後の捨てられた傘は、それを語っているように思えて仕方がない。
              
                 松茂町文化協会 会長 三原茂雄

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